組織の文章を良くするために、デザイナーが日本語のガイドラインを作った話
インハウスのUXデザイナーとして、日々社外に発信される日本語のクオリティは非常に気を使っています。
UXデザイナーとして日本語に気を使う箇所は、アプリやWebの中だけでなく、ヘルプページやメールでのお知らせなど本当に多岐にわたります。
日本語も英語も校正しているとそれはそれはとにかく時間がかかるので、ある程度組織の人数が多ければ選任のライターがいるべきだと思っているのですが、まだ弊社はそこまで成熟した企業ではないので「ライティングがちょっと上手な人」の善意によってなんとかしているという状況です。
私はUIデザイナーでもありますし、ビジュアルデザインにも注力したい。。日本語ばっか見てられんのじゃー!という気持ちで、社内に日本語の簡単なチェックリストのようなものを作りました。結構社内の評判も良く、公開してからライティングの品質も向上してきたように感じます。公開して同じようなことで悩んでる人に使ってほしいなーと思ってます。
何か日本語の参考書籍を読んで練習するのが一番近道だとはわかっているのですが、社員全員にそれは強制できないので、以下のようなリストを共有するだけでも結構マシになるかな〜と感じているところです。
文章を書くときに気をつけること
ユーザーに向けて対外的に発せられる文章の品質が向上すると良いなと思って書きました。私は文章の専門家ではないので、もっと日本語の上手な方が加筆/修正して頂けると助かります。
ちゃんとした本を読んで練習するのが一番良いと思いますが、そういった時間が取れない方が、顧客に向けた文章を書くときに最低限チェックした方がよいTipsをまとめます。
(何か見つけたら随時追記します)
だいじなこと
- 文章を書くときは、常に文章を届ける相手のことを考える
- 自分が伝えたいことではなく、相手が知りたい情報は何かをよく考える
- 不特定多数の人に情報を伝えるとき、日本語が適切であればあるほど、正しい情報を届けられる人数が100%に近づく
- 適切な日本語が使えない企業は、信頼されない
- 簡潔な日本語を書くのはとても難しいことを意識する。
- ふだん日本語を使っている人は、複雑な表現に慣れているから。
基本(すべての日本語に適用できるルール)
文章は可能な限り短くする
キャンペーンを実施する運びとなりました。
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キャンペーンを実施します。
ユビレジのテーブルのうちテーブルエリア設定が行われていないものは、
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エリア設定されていないユビレジのテーブルは、
当たり前のことは書かない
本キャンペーン以外でお申し込みをされたお客様は、本キャンペーンの対象外です。
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(削除する)
指示/意図が欠落した文章を書かない
※プレミアム以上
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※プレミアムプランのユーザーが対象です
「こちらビールになります」はバイト敬語で、間違っています
受付時間は平日10:00〜18:00となります。
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受付時間は平日10:00〜18:00です。
ひとつの文でひとつの事柄を説明する
2つの単語をつなげて新しい単語を作らない
特に操作説明の場合、ヘルプページとの整合性がとれなくなるので避ける。
テーブルエリア
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テーブルのエリア
正式名称を使う
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他社の事柄を記載するときは、できるだけその会社がしている表現を流用する
◯◯(他社名)は予約管理アプリです。
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◯◯(他社名)は、予約台帳/顧客台帳サービスです。
ネガティブな事柄は、ポジティブに言い換えられないか検討する
文体は統一する
本日はお知らせが二点ございます。
このたび〜を開始しました。
↓
本日はお知らせが二点あります。
このたび〜を開始しました。
ら抜き言葉は使わない
見れない
↓
見られない
URLのリンクは、リンク先が何か分かった方が良い
「こちら(URLが設定されている)にご連絡ください。」のような表記は「こちら」が何か分かりにくいですし、リンク先のページが消えた場合どうして良いか分からなくなってしまうので、どこに飛ばそうとしているのか明示した方が良いです。
【良い例】
◯◯に関するご不明点については、提供・開発元の株式会社◯◯へお問い合わせください。
・株式会社◯◯(URL: https://△△△/)
取説(ヘルプページ)
取説など技術文書で適用できるルールです。
ひとつの文でひとつの指示をする
あまりにも簡単な操作などは、接続詞でつなげたほうが自然なこともありますが、稀です。
「ユーザーが行う操作」→「アプリケーションが返す結果」を意識すると文章が組み立てやすい
「使いはじめる」をクリックします。
ログインが表示されるので、ログインします。
↓
「使いはじめる」をクリックします。
ログイン画面が表示されます。
ログインすると〜。
画面に表記されていない言葉を使わない
連携設定画面で紐付ける店舗を選択します。
↓
(画面内に紐付けるという単語は登場しない)
↓
連携設定画面で連携する店舗を選択します。
ユーザーがやりたいことを、狭めた表現をしない
予約一覧の中から、ご来店された方のお名前をタップします。
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(もしかしたら、今来店した人じゃない予約のステータスを変更したいかもしれない)
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予約一覧の中から、トレタの予約ステータスを変更したいお客様をタップします。
取説では敬語は不要
操作の流れを説明させて頂きます。
↓
操作の流れを説明します。
ステータスページ
ステータスページなどで障害情報を記述するときは、完璧に正しい日本語を記述するよりも、1秒でも早く情報を届ける方がユーザーにとって価値があるかもしれません。
日本語を使った条件分岐や、二重否定が間違った意味に捉えられないか、全く違う意味に捉えられると障害情報を出す意味が無いので、気をつけると良いと思います。
iOS Human Interface Guidelines
アラートの文言
アラートのタイトルが一文の場合、句点は使用しない。
本文は一文でも句点を使うっぽい。明記されていないので、情報募集中。